証券トレーディング業務におけるExcel依存を脱却するプロジェクトで直面した技術的選択とプロジェクト運営の失敗 accepted

Abstract

これはとある証券会社のトレーディング業務がいかにしてExcelに侵食され、それを乗り越えるための技術的な挑戦がいかにして失敗していったかの物語です。


普段表には出てこない失敗談を共有し、あえて発表者の主観を交えることで生々しさを失うことなくお伝えします。


みなさんには技術的な選択において害悪となるバイアス、技術的な選択を推し進める際に立ちはだかる障害がどのようにして起こりうるか、それらをアンチパターンとして学ぶ機会にしていただきたいです。

詳細

私は一年ほど前まで、ある世界有数の証券会社ではたらいていました。
近年の証券業界は「High Frequency Trading(HFT)」や「ダークプール」などといったテクノロジー依存度の強い話題が多く登場するため、証券業務というのは非常に高度化、自動化されているものだという印象を持つ人も多いのではないでしょうか?


しかし私の勤めていたような大手証券会社ではビジネスの規模としては伝統的な取引が占める割合が高く、非常に人手のかかる形で取引が進められている事が多いのです。その中でもとりわけプリトレードと呼ばれる取引約定前の段階、つまり投資判断や分析、顧客からの価格要求に対する応答には今もExcelを使った半自動・半人力システムが活躍しています。


このトークではまず、証券業務とExcelの深い関係を示すいくつかの事例を紹介し、その後に私がたずさわったプロジェクト、「あるExcel依存業務を置き換え、JavaScript及び社内テクノロジを用いた自動化ワークフローを導入する」プロジェクトについてお話します。


プロジェクトのハイライトは、どのような判断バイアスや障害が発生し、それらがプロジェクトを失敗へと導いていったかの過程です。そのなかには


    1. 上層部が推進したい技術と現場スキルセットの乖離
    1. ビジネス部門上層部が最大限の協力を打診したが、海外部門との折衝不足が起こった経緯
    1. 短すぎる開発期間に、低すぎるエラー発生率の要求
    1. 技術部門マネージャによる情報の捻じ曲げと隠蔽
    1. 上層部からの不必要な介入

といったことが含まれます。


このプロジェクトは、社内では異例とも言える開発人数を割いたもので、ビジネス的な重要度としても最優先に置かれるものでした。
かつ当時社内では珍しかったJavaScriptの本格的なフレームワークの導入、およびJavaの非同期サーバVertxを用いそれらを社内バックエンドシステムと融合するなど、技術的な挑戦としてみた場合にも非常に面白みの感じられるプロジェクトでもありました。しかし、そのプロジェクトの開発側の主要メンバーとして任命された私には、盛大な失敗の予感しかしていませんでした、なぜなら…


…つづきは、トークでお話します。

Session Information
Confirmed confirmed
Material Level Beginner
Starts On 9/8/18, 11:10 AM
Room Multi-Purpose Room 2
Session Duration Regular Session (60min)
Spoken Language Japanese
Interpretation Unavailable
Slide Language Japanese